水滸伝関連本感想〜原案もの編〜
水滸伝を原案とした小説(オリジナル色が強く、原典から大分違う雰囲気のもの。ほぼ原典どおりのものは
もう一つの感想ページにあります)や漫画・ゲームなどの感想の部屋です。
原作愛ゆえの辛口も含みますので、毒吐きに耐性のない方はご注意ください。
●印は個人的にオススメの本。
<原案小説系>
●水滸伝(北方版) 北方謙三著 集英社文庫 現在読書中
*「水滸伝」って言われなかったらもうちょっと素直に読めたかなー…
キューバ戦争ならキューバ戦争でやって欲しかった。
それに加えて良くも悪くも「俺様(北方)!」感の強い文章なので、好き嫌いは分かれるかも。
原作で影の薄い人の救済や顧大嫂と呉用のくだけた場面みたいのは良好なんですが、
原作で死んでない人の死亡や性格改変(改悪)がひっかかることも多いので注意。
武松の件とかショックでした…(楊志の子も何で楊志本人じゃダメなの?とか思うし…)
あと…完全に私情なんですが、朱仝さんは確かに隠れ有能なお方ですよ?
地味に敵の将軍の首取ってこれるレベルにお強いことは承知ですよ??
でも、私はあの控えめで決してでしゃばらないながらもしっかり有能!な朱仝さんが好きなんだよ…(ー△ー;)
ザ・軍人!将軍!な売り方されてもなんか…こう…それは何か違う…(遠い目)
●『悲華 水滸伝』 杉本苑子著 中公文庫 第2巻読書中
*これもまた好みが分かれる水滸伝だと思います。
というのは、女性が書いたものということで、残酷描写がさらっと流されて戦闘の印象が残りにくいように
されてる本だったんですね。
それが「女性でも読みやすくてありがたい」と思えるか「水滸伝の水滸伝らしいとこを台無しにしている」
と思うかが分かれ道かなと。
人物同士の会話なんかは読みやすいんですけど、自分は『秦明さん、家族亡くなった直後なのに
さっさと切り替えておっぱいToLOVEる事件』とか、「いや、人としてどうなんだよ」と思えてしまいまして…(汗)
所々の追加エピソードや好漢のキャラ付けなどに作者さんの趣味が出すぎちゃってる感じなんですよね。
言い方がアレですけど、柴田○美サンとか生○美和サンみたいな空気を感じたというか…。
ここの秦明さんって、私は原典でももっと宋江に憎しみを抱いた描写が欲しいくらいの悲劇キャラだと思ってるので、
こんなのんきな展開足されても、逆に嫌だったなあ。
ほんの数ページ前に誤解で奥さんたち皆殺しにされて首掲げられてる人ですよね、この方…?(ーー;)
戦闘員なのに、戦闘力よりもいい年こいて女関連でワタワタしてた印象ばっか残っちゃったんですけど…(汗)
あと、出番ない好漢に救済の手をというのはいいと思うし、「あ、こことここをくっつけてスムーズな展開を
目指してみたんだな」っていう面白さはあるんですが、李逵ちゃんVS羅真人の一連のアレをやらされて
非礼馬鹿キャラの汚名を着せられてしまった楊林が…まじカワイソ…(ーー;)
アレは李逵ちゃんだから「馬鹿もとい浅慮でも仕方ない」で済む話なのにね…。
…と、こういう細かい改変が好みに合うようなら、読み進められると思います。
水滸伝から残酷性を排除するっていう難しいことに挑戦してるなあとは思いますけどね…。
元々それありきの話なんで、バランス取るのが難しいだろうなあと思いました。
●水滸伝(平谷版版) 平谷美樹著 ハルキ文庫 1、2巻読破
*大分大きくアレンジされてる話です。
まず、史進が二人です。
正確に言うと、史進の星『天微星』に当たるキャラが史進(五紋龍)とその妹(四紋龍)の二人、という設定。
この二人を中心に、オリジナル要素満載な展開が繰り広げられます。
原作ではあっさり終わるような少華山の、朝廷も関わるような大きな戦で王進死亡。
2巻時点で医者コンビ(安・皇)それぞれ活躍あり。(←安道全なんか王倫の医者だったり)
オリキャラ満載で、王進を殺すのもそういうキャラです。
高キュウは『理想があって悪いことしてる、史進もある意味感心しちゃうようなキャラ』だったりしますし。
でもするする読めちゃうんですよね。
ここまでやってくれたらもう完全に別物としてって感じで、抵抗もなく。
好みは分かれるかと思うんですが、私的に、クセの強い宋江が同じくクセの強い人を食った呉用サンに
おちょくられて悔しがるのが笑えて小気味良くて。
結構ラノベくさいのかなあ。この作者さん、好感を持ったので他の作品も読んでみたのですが…どうにも
女子キャラとか漫画チックなんですよね(苦笑)
その分「お堅い小説とか苦手なんだよね…」って方も読める作品だと思います。
余談ですが、同作者さんの『でんでら国』や『ゴミソの鐡次』なんか個人的にはオススメです。
男勝りな女子キャラが主人公の話が多い方なんですが、先に書いたようになんかラノベくさい色々要素てんこ盛った
キャラばっかなんで…。
男性キャラは結構普通なんで、そっちが主人公の方が読みやすかったな〜と。
<漫画>
●AKABOSHIー異聞水滸伝ー 天野洋一作 ジャンプコミックス
*作者が元々あまり好きではなかった漫画家さんだったので、連載の情報聞いて逆にガッカリした覚えがあります。
連載始まっても、結局「私にはちょっと…」という感じだったかな。
朱貴さんのキャラは嫌いじゃないですが、全体的に悪い意味でクセの強いキャラが多すぎ。
絵は一見小綺麗で好きな人は好きそうですが、自分的にはただただゴチャゴチャで見づらかったです。
あと、個人的には顧大嫂のロリババア化が絶許。
顧大嫂はあの●ピュタのドーラ系の肝っ玉 かあちゃんっぷりがいいんだよ!!!(ド怒り)
あの「だっておばはんじゃ人気取れないでしょ?」といわんばかりのロリ化はいいとこ潰しにしか感じません…。
梁山泊女子はあの「美女」と「S女」と「豪快かあちゃん」三種三様居るのが面白いとこだと思うんスよ…。
別に全員美(少)女である必要ないし。
普通武松はイケメンにしても魯智深までイケメンにしないでしょ…?
●水滸伝 さいとう・たかを作 リイド社 コンビニコミック
*ゴ●ゴの作者さんだけあって色々濃ゆいです(笑)
序盤折角引き込まれる感じだったのに、「特別編集版」のコンビニコミック1冊という
ボリュームだったせいなのか、途中から誰が誰だかワケ分からなくなってくるのが残念…。
●水滸伝 横山光輝作 潮漫画文庫 1、2巻読破
*ツッコミ所も結構ありますが、作者さんが有名所ということもあって安定。
アレンジはアレンジとして楽しめます。今後集めていきたい。
公孫勝や黄信さんの扱いったら…(笑)
●水滸伝 李志清作 メディアファクトリー コンビニコミック1巻読破
*ちょっと絵が女子が読むには泥臭めですが、それも含めて「本家水滸伝らしい」水滸伝になってます。
水滸伝本編が普通に読めるなら、こういうのの方がおすすめかと。
●月の蛇ー水滸伝異聞ー 中道裕大作 ゲッサン少年サンデーコミックス 1〜4巻読破
*基本が蕩寇志(反水滸伝)なので、好漢好きは注意。
好漢側はデザインやキャラの幅があってマル。
オッサン系は描くの上手で、原作の地味ポジ好漢に掘り出し物が多くて嬉しい。
反面、肝心な主人公側のオリジナルキャラがただのうちの子TUEE自慢止まり。
絵は悪くないのに、皆大体同じ表情しかしてないのが致命的で、 戦闘もワンパターン。
せめて水軍の時くらい戦略重視の変則バトルにするとか挑戦してみればいいものを、
常に伝説の武器任せの力押しっていうね…(ーー;)
(頭脳系キャラっぽいのに地上でクロウで戦って負ける李俊のダサさったら…(汗))
あと、女の子キャラの大半が正直「キレイ」とか「可愛い」という単語に全く説得力がない。
まあ、女子が好むタイプの女の子じゃなくて、男子じゃないと好めないタイプなのかもしれないけど…
特に、大体同じような表情でキーキー偉そうにしてるばかりのヒロインや巻末の双子ときたら…(ーー;)
これにあざといサービスかまされてもなあ…(汗)
●まんがで読破 水滸伝 バラエティアートワークス
*やりたい放題。
同人誌とかなら別にいいんだけど、『漫画で読破』という看板背負った出版物でこれはないと思う。
初心者は絶対読まない方がいいです!!これは誤解を生む。
ラスボスが陸謙とか…斬新すぎて本当誰得なのか分かんないっす…(苦笑)
林冲好きな人はアリ…かも?
<ゲーム>
●水滸伝・天命の誓い (シミュレーション、PS版) KOEI
*三国志とか戦国ものでよくある、領地と戦力確保して〜の国育てて〜のなシミュレーションです。
ストーリーものではないので、キャラの雰囲気とか味わう感じかな。
時々妙に芸人さんとかに似てるキャラとかいて笑える。
史進とかのグラフィック、スタンダードで格好いいですよ(^U^)
●幻想水滸伝シリーズ(一応外伝含む全作品プレイ済み)
*これは厳密には水滸伝モノじゃないですけどね。(水滸伝知ってるとニヤリとできる要素がある程度)
特に3が大好きでした。(2と5はあの金魚の糞さえいなけりゃなあ…)
PSPの時空超えるやつはもう幻水とは認めたくないです。
●一O八恋星☆水滸伝 (女性向け恋愛シミュレーション) モバイルゲーム(自分はガラケでプレイ)
*以前試しに李俊編を少しやってみてました。
薄桜鬼の水滸伝版みたいな感じかなー…(遠い目)
「何故にここに阮小五?」とか「李逵さんべったりする相手間違えてるみたいよ?」等等、
ツッコミ満載すぎるけど、薄桜鬼や幻水みたいなもんだと思ってやればこれはこれで楽しめるのかなーと(笑)
全体的に線が細い・メンタル弱い・お前誰だ仕様なのは、もう乙女ゲーなので諦めるしかないです(苦笑)
でも課金のチケットなしだと一気に全話読めない仕様なので、あっさり飽きた。