登場人物図鑑(李俊周辺)


 混江竜・李俊(こんこうりゅう・りしゅん) 全属性

 本編の主人公その2。
 入山前は、揚子江付近の地域・掲陽一帯を守る影のリーダー格を勤めていた。
 (表のリーダーは穆弘)

 長身痩躯で女顔の青年。
 人間離れした黄金色に輝く瞳を、普段は盲目のふりをして、包帯で隠している。
 怒りなどで気が高まると、身体に鱗のような模様が浮き出たり、腕が龍のように変形したりする。

 天に背いた108の星のうち、最も罪の軽かった神の生まれ変わり。
 「神」としての力を誰よりも残して生まれているため、戦闘能力自体はきわめて高く、
 特に術は全ての属性に高い適正がある。
 だが、その能力が災いして、家族も含めた街中の人間から異能のものとして差別された過去があり、
 人間離れした自分に強い嫌悪感を抱いている。
 他人の傷に注意を払える優しい性格だが、反面自分を犠牲にする方向で突っ走る傾向が強く、
 友人である掲陽メンツをいつもやきもきさせている。

 戦うことが嫌いで、戦を好む者に対する言動や態度がきつく、戦場ではサポート要員に回るのが殆ど。
 宋江は、高い能力を持ちながらも戦おうとしない李俊に苛立ちを感じる反面、
 彼の言動が気になっている模様。

 生まれつき、「他人と繋がれる」特殊能力を持っている。
 李俊本人は「接続(リンク)」と呼んでいるが、これは実際のところ、「繋がった」相手を
 自分の思うがままに操る「支配」の能力である。(本人は自覚がなく、公孫勝に告げられて発覚)
 非常に燃費が悪く、いつでも何かしら食べている。甘いものが大好物。
 公孫勝いわく、「高い身体(神体)能力を維持するために、絶大なエネルギーを消費するから」らしい。

 掲陽の仲間とは、義兄弟の証として、それぞれとおそろいのアクセサリーを身につけている。
 得意料理は創作料理(洋食系)。
 武器は細身の細工槍(長さを調節できて袖に仕込めるもの)、袖に仕込んだ鉤付き鋼線。
 穆兄弟が開発した、軽くて丈夫なものを使用している。カウンターが得意。



 浪裏白跳・張順(ろうりはくちょう・ちょうじゅん) 水属性

 張横の弟。入山前は、江州で魚屋の総元締めをやっていた。

 生まれつき霊力(術力とはちょっと違う)が高く、「夢で他人の不幸(主に死)」を見てしまうという
 能力の持ち主。
 そのため幼少時から人との接触や眠ることを恐れて引きこもりになってしまっていたが、
 李俊が「接続」の力で悪夢を共有し、励ましてくれるようになったおかげで、外の世界に
 出て行けるようになった。
 それ以降、李俊に対して崇拝に近い感情を抱いている。
 李俊と兄とのおそろいの指輪が宝物。

 一見やんちゃで元気のいい青年だが、心の奥には、今でも自分の異能の力に悩み続ける暗い感情を
 秘めている。
 李俊のいない時には、李立の薬に頼るか寝ずに過ごすという不健康な生活を送っている。
 崇拝する李俊のピンチに関しては、鬼神のごとくブチ切れ、彼のためなら死をもいとわない。
 こういうところは兄貴似。
 李俊の前では頼りになる男っぷりを見せようといつも張り切っているのだが、結局甘えん坊な弟気質が
 出てしまい、おいしいところを他の仲間に掻っ攫われてしまう。

 陸上での戦闘は不得手だが、水の中では最強。
 陸上と変わらず動け(むしろ水の中の方が速いかも)、7日7晩水に潜っていられるという伝説の保持者。
 しかし、基本的な戦闘能力はそう高くないため、能力の高い兄・張横には嫉妬心を抱いている節がある。
 少年時代に李俊や童兄弟たちと一緒に安道全のところでバイトをしていたことがあるため、
 ある程度の応急手当の心得もある。
 武器は口にくわえられるほどのサイズのブッシュナイフ2刀流。



 船火児・張横(せんかじ・ちょうおう) 土属性

 掲陽8人組の一人で、潯陽江の渡し守。張順の実兄。

 幼い頃に父を亡くし、心を病んだ母と引きこもりの弟を一人で養うはめになってしまい、
 「自分ばかりが何故」と、一時期グレかけたことがある。
 その心や弟を自分自身も大変な状況に居た李俊が救いあげてくれたため、以降、
 「今度からは自分が彼を守る」という誓いを立てて今に至る。
 李俊に対する忠誠心・保護欲はメンバー随一。
 通称「李俊の番犬」もしくは「狂犬」。

 非常に人の好き嫌いがはっきりしており、李俊には大甘、仲間うちには気のいい頼れるあんちゃん、
 嫌いな相手や敵には全く容赦ナシの性格。
 仲間のためにならないと判断した相手には、笑顔で刀を抜き追い剥ぎをする。 
 判断基準はかなりシビアめで、宋江も殺されかけた。
 
 「李俊を守る力がある」と張順にライバル視されているのだが、「李俊の能力を理解できる力がある」と
 いう理由で、表面には出さないものの、張順に嫉妬している一面がある。
 弟と違って術士的な才能は皆無だが、実はその分「術的なものへの抵抗力が異様に高い」という
 隠れた異能者だったりする。(梁山泊入りしてから発覚)

 鎖つき小太刀の二刀使いで、何気に歩兵並みの戦闘力を誇る。
 …が、あくまで「仲間」と認めた相手のためでないと働かない困った男。 
 得意料理は素朴なおふくろの味系。

 



 出洞蛟・童威(しゅつどうこう・どうい) 金属性

 李俊にべったりの双子・童兄弟の兄の方。

 兄弟揃って陽気でおおらかな性格。掲陽チームの賑やかし役。
 見分けるポイントは、洋服の色と口元のほくろの位置。(右が童威、左が童猛)
 掲陽では、弟とともに李俊のサポートやみんなの連絡係を務めていた。

 最も李俊との付き合いが長い分、彼の秘められた力と、それに対する苦悩をいちばんよく知っている。
 しかも、童兄弟は、李俊が街中にその正体を知られ、差別される事件のきっかけを作った張本人。
 なので、李俊を深く敬愛し、時には励まし、時には励まされる関係をずっと続けながらも、
 どこかお互いに線を引いてしまっていた部分があった。
 特に、比較的思慮深い兄の童威は、その傾向が強かった。

 宋江が江州で起こした事件がきっかけで、自分たちが李俊に対して抱いていた罪悪感を解消、
 本当の、心からの友情を育めるようになる。
 以後、弟ともども、力の大きさに苦しむ李俊を、時にはきちんと叱り、暖かく励ます存在に成長する。



 翻江蜃・童猛(ほんこうしん・どうもう) 金属性

 童威の双子の弟。

 基本的な性格は兄とそっくりだが、兄より比較的ノリがよく、肝がすわり気味で、いたずら好き。
 また、白勝や阮小七のような、掲陽メンバー以外の仲間との付き合いがいい一面も。

 幼少時に、童威とともに、異能ゆえ家族に監禁・虐待されていた李俊を日の下へ連れ出し、
 彼が本性を発現して家族や一般市民を惨殺する事件を引き起こしてしまう。
 以降、自分達も家を捨て、天涯孤独となった李俊を最期まで支えることを誓う。
 掲陽メンバーは李俊を気遣ってただの「俊」と呼び、それに倣って他メンバーも下の名で呼び合うように
 なっているが、この発案者は童猛である。

 童威、李俊とは、いつもセットで行動している。
 兄ともども、操船術や鉤付き銅線・ロープを使ったサポート、応急手当が専門分野。
 身体能力はあまり高くないが、視力や地形・水の流れを読む能力に長けている。

 兄ともども、李俊とおそろいの玉(ぎょく)が宝物。
 初仕事の給料で、こっそりおそろいを買って李俊にプレゼントした。

 



 催命判官・李立(さいめいはんがん・りりつ) 水属性

 掲陽メンバーの中で、最も仲間入りが遅かった男。メンバー内では最年長。

 以前は各地を渡り歩いて人肉酒場を経営し、ヤバくなったら捕まる前に土地を変え…という
 ことを繰り返していたが、掲陽に流れてきた際李俊たちに出会い、改心する。
 でも、掲陽でも時々昔の癖が…。

 一見地味で人当たりのよさそうな顔とは裏腹に、実はかなりの腹黒策略家。
 基本的には落ち着きのある常識人で、身内のこととなると熱くなってしまうタイプ揃いの
 掲陽メンバーの中、外からものを見られる冷静さがあるため、皆の相談役的なポジションにいる。
 その黒さは、童兄弟から「魔王」というアダ名をつけられるレベル。

 身体能力は高くないが、優秀な薬使いで、毒や痺れ薬の調合、怪我の応急手当、料理などを
 マルチにこなす。
 化粧も得意で、情報収集の時には自分や仲間を変装させる役を買って出ている。
 愛刀は毒剣「不見血(みずち)」。仕込む薬で効能を変えられる。

 普段はさわやかに人のよい笑顔を浮かべて愛想を振りまくので、意外にモテる。
 それがモテない穆弘の怒りを買ってるとか買ってないとか…。
 得意料理は薬膳、ヘルシー系。
 目元の刺青が李俊とおそろい。(李立が入れてあげた)




 没遮濫・穆弘(ぼっしゃらん・ぼくこう)*字変えてます 火属性 

 掲陽の表のリーダー。
 掲陽鎮で代々影響力を持つ任侠一家の若旦那。

 家業を継ぐことのプレッシャーに悩んでいた頃に李俊たちと知り合い、弟の穆春ともども友情を育んだ。
 李俊とはお揃いの腕輪(李俊が鍾乳石、穆兄弟が黒曜石)をつけている。

 李俊や張横たち用のいい武器を開発したり、流れ者だった李立に店を用意したりと、
 李俊たちが裏で自由に動くためのサポート役を自ら引き受けている。
 一見豪快そうで、性格も基本的には豪快なのだが、芯がしっかりしていて土壇場に強いアニキタイプ。
 戦闘では大ぶりの朴刀を使うパワーファイター。

 …と、かなりできた男なのだが、強面なのが悪いのか家業が悪いのか、
 女性が全く寄り付かない悲運の男。
 現在、可愛いお嫁さん候補募集中。(切実)



 小遮濫・穆春(しょうしゃらん・ぼくしゅん)*字変えてます 木属性 

 穆弘の実弟。フットワークの軽い青年。掲陽メンバー内では最年少。

 一家の大黒柱となるべく育てられた穆弘のサポート役として働くよう、幼少時から
 みっちり叩き込まれている。
 見様によっては兄の影でずっと生きることを強要されているわけだが、
 本人はその状況をあっさり割り切っており、いつも飄々と裏方をこなしている。
 張順とは年少同士いいケンカ相手。

 戦闘では標準サイズの朴刀使い。 でも正直強くはない。
 悪知恵が働くので、小ざかしい作戦で周りを引っ掻き回す方で本領を発揮する。
 不利な状況になったらすぐに兄に問題を回してしまうので、一見テキトーな男にも見えるが、
 それは適材適所の精神と兄への信頼があってこそ。

 実は「兄貴に悪いから」とうまく隠れて付き合っているかわいい彼女アリ。
 李俊にのみ教えていたのだが、李立の情報力には勝てず、今ではすっかり
 パシらせる際のゆすりネタにされてしまっている。